矯正歯科では主に「パノラマ」というレントゲンと「セファロ」というレントゲンを撮影します。
パノラマは大体どこの歯科医院にもあります。「セファロ」は顎顔面の状態をきちんと把握し、正しく治療を行う上で必要な横顔と正面から撮影したレントゲンです。
矯正治療をしたことがある方以外はあまり見かけないレントゲンだと思います。

このセファロの撮影方法としては主に
- デジタル方式で撮影する。
- アナログ方式で撮影する。
- CT兼用機で撮影する。
という3つの方法があります。デジタル式というのは、アナログ式と比較して3分の1から10分の1という少ない被ばく量で撮影することが可能です。
当院では、
デジタル方式の中でも最も少ない被ばく量の、ワンショットセファロを導入しました。今まで「最新」と言われていたデジタル方式では、アナログと比較して被ばく量が少ないものの、機種によって3秒から15秒近くの撮影時間が必要でした。その間、じっとしていないといけないわけですが、お子さんの場合は「じっとしていてね」といってもよけいに緊張して動いてしまう場合があり撮り直しすることがありました。
ワンショットタイプですと、撮影時間が0.5秒であっというまに終わります。
放射線を浴びる時間が0.5秒に短縮されます。
また、少し詳しい話になりますが、撮影した画像を感知するCCDというセンサーが従来品では顔の大きさより小さいため、縮小撮影してから大きく引き伸ばすため、画像が荒くなり細かい骨の状態が確認しづらいことがありました。当院で導入した京セラ製ワンショットセファロは、画像をそのままの大きさで撮影しますので、より
クリアーな画像で誤診を防ぎます。
3番目のCT兼用機での撮影は注意が必要です。CT兼用機ではパノラマもセファロも撮影することができますが、CTはパノラマやセファロ撮影をするにあたり、大変被ばく量が多い機種があります。その被ばく量はアナログレントゲンの比ではありません。
CTは3次元で撮影できるため、歯科領域では得られる情報が多いですが、歯が骨の中に埋まっていてどこにあるか確認したい、成人で歯周病が進んでいてどこの歯が動かさない方がよいか知りたい、顎関節症で下顎頭の状態を確認したいなどの例を除いて通常の矯正治療では必要なくセファロ、パノラマのみで十分に治療が可能と当院は考えております。また、アメリカの歯科学会ではCTの被ばく量の多さから特に子供には「歯科治療に関連したCT撮影はなるべく行わない」という勧告がでています。
矯正治療中は永久歯にすべて生え変わった中学生以上の患者様で少なくとも3回、子供の患者様では装置の効果の確認や顔の成長の確認をするために多い方では10回近く撮影します。
矯正治療を始めるにあたり、最も被ばくの少ないレントゲンをご希望の場合は、「デジタル方式」で、かつ、「ワンショットタイプかどうか」をご確認なさるとよいでしょう。